333DISCS PRESS

●乙女歌謡

こんにちは。甲斐みのりです。333pressの乙女歌謡コーナーでは、日本語の歌に限らず、私が10代の頃に夢中になっていた、愛らしい歌をご紹介していこうと思います。

これまでは、LIO、ANTENA、marie laforet、virginia astley、Margo Guryanと愛らしくも芯の通った女性ボーカルの歌をご紹介してきました。学生時代は大阪のレコードショップが主宰する「女性ボーカル友の会」というサークルに入っていたり時間さえあれば、女性ボーカルばかりのミックステープをつくっていたことを思い出します。

 

そんな中、手にとったのが、クレプスキュールレーベルのコンピレーションアルバムに参加したのち、細野晴臣さんが創設したノンスタンダード・レーベルよりリリースされたグレゴリ・チェルキンスキー、パスカル・ボレルというフランス人の男女ふたり組ユニット、MIKADOのレコード。アルバム『MIKADO』が発売されたのが1985年で、私が最初にであったのは大学1年生だった1995年のことなので10年も後追い。けれども、ささやくようなパスカルの歌声と、機械的だけれどきらきら輝く音はそれまで聴いたことのない、新しくておしゃれでときめきを覚える音楽でした。さらにあの日から15年。リリースから25年を経ていたとしてもやっぱり私には、レコードのジャケット写真のように淡いピンクと水色の色褪せることのない色彩を耳元に届けてくれるのです。

そんなMIKADOの代表曲「冬のノフラージュ」を日本語でカバーしたのが森尾由美さん。「イマージュ」というタイトルで、作詞家・詩人・エッセイストとして活躍した安井かずみさんが日本語の歌詞をつけています。安井さんは「ズズ」という彼女の愛称と同じタイトルのアルバムも出している方。加賀まりこさんや、かまやつひろしさん、吉田拓郎さんなど、当時最先端を歩いていた著名な方々と交流を持ち、フォーク・クルセダーズやサディスティック・ミカ・バンドで知られる、ミュージシャンの加藤和彦さんと結婚しました。沢田研二さんや西城秀樹さんをはじめ、誰もが知っている数々の日本の名歌謡曲を書いています。

「乙女歌謡」という視点で代表をあげると、竹内まりやさんの「不思議なピーチパイ」や、ナンシー・シナトラの「Like I DO」の訳詞で、ザ・ピーナッツが歌った「レモンのキッス」なども手がけています。レモンティー、ミルフィーユ、ひとりごと、子猫、読みかけの本、そして「お嫁にゆくイメージ」という言葉の数々。

CDやレコードでなかなか探しにくい曲なので、5月27日(日)「東京蚤の市」での乙女歌謡イベントにて、聴いていただくことができればと思っています。ご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお待ちしております。

甲斐みのり

文筆家。1976年静岡生まれ。旅・お菓子・各地の食材・クラシックホテルや文化財の温泉宿などを主な題材に、女性が憧れ好むものについて書き綴る。http://www.loule.net/