333DISCS PRESS

●パリの街角から

”Un cafe, S.V.P.(コーヒーを、お願いします)”

こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて今回は、パリのカフェについてお話したいと思います。
突然ですが、皆様は、コーヒー、お好きでしょうか。はい、私くしは大好きです。日本にいた頃からコーヒーはよく飲みましたが、ここパリに来てからは、もっと好きになりました。気温のせいなのか、それとも湿度のせいなのかは分かりませんが、秋から冬にかけて飲むコーヒーなんて本当に美味しいのです。

 

 

「パリのカフェのカフェ」

さて今日は、パリのカフェについてお話したいことが3つ。1つめは、パリにはカフェが多いということ。正確な数は分かりませんが、東京の山手線の内側と同じくらいの広さ(狭さ?)と言われるここパリの街に、8,000軒とも10,000軒とも言われるカフェがあるそうです(本当?)。なお、実際にパリを訪れたことがある方ならご理解いただけるものと思いますが、もう、そこにも、ここにもカフェがあるような感じです。また、シャンゼリゼ大通りやサンジェルマン デ プレ界隈にある有名店だけでなく、路地裏の「えっ! こんなところにも?」と驚いてしまうような場所にまで、カフェはあります。

 

 

 

「カウンターに置かれたクロワッサン。食べたい人はご自分で」

2つめは、カフェでいただくコーヒーについて。ここパリでは、喫茶店のことをカフェ、またコーヒーのこともカフェと呼びますが、カフェに入ってカフェを注文すると、出てくるのは日本でいうエスプレッソ。手のひらにすっぽりと納まるくらいの小さなカップに、香り高く濃厚なコーヒーが入っています。もちろん、日本の喫茶店でいただくようなコーヒーもあるのですが、この街ではエスプレッソが一般的なのです。

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま。お代、ここ置いておきます…」

3つめは、同じお店の中でも、座る席によってコーヒーの値段が変ること。具体的には、店内のカウンターと(立ち飲み)、店内のテーブル席、そして店先にあるテラス席の3つに分けられていて、同じ一杯のコーヒーを飲むにしても、カウンターで飲むのが一番安く、次に店内のテーブル席、店先のテラス席の順に高くなります。そして、その日の気分やお天気、カフェを利用する目的などに応じて、お客さん自身がこの3つの席を使い分けます。ごく短い時間で一杯のコーヒーを楽しみたい時にはカウンターへ。また、ゆったりとした気分でコーヒーを味わいたい時や、読書をしたり考え事をしたりしたい時には店内のテーブル席へ。そして、太陽の光を楽しんだり、吹いていく風を感じたい時には店先のテラス席…。ちなみに私くしも、その時の気持ちや状況に応じて席を使い分けますが、どこに座っていても面白いのが人間観察。そう、店員さんの動きやお店を利用するお客さんたちの様子、さらには店員さんとお客さんとのやり取りや、店先を行き交う人の様子まで…。実に様々な人間模様を楽しむことができます。皆様もパリにいらした時、是非、カフェにお立ち寄りください。そして、素顔のパリを楽しんでいただけたら嬉しく思います。

 

以上今回は、パリのカフェについて、少しだけお話をいたしました。

 

 

阿部桂太郎

1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。

●国立の街角から

「ロージナ茶房」

ギシギシきしむ階段、やや暗めの店内、壁に飾られたいろんなテイストの絵画やオブジェ。学生グループがにぎやかにお茶してると思えば、常連らしきおじいさんが新聞を読んでいる。
オープンは1954年だという。この喫茶店のことを知ったのは10年ほど前に刊行された『スマイルフード』(マガジンハウス)という本だったと思う。そのレトロで可愛らしい名前の響きにも惹かれ、いつか行ってみたい喫茶店リストに加わった。そのときは、自分が国立に住むことになるとは思いもしなかった。
そして国立に住みはじめて2年。ロージナは私にとって、欠くことのできない大切な喫茶店となった。打ち合せや友人とのランチ、仕事のアイディア出しを一人するときなど、ことあるごとに利用している。古い飲食店の閉店の知らせに悲しい思いをすることが多いので、ロージナがそうならないよう微力ながら応援しているつもりもある。とは言っても今のところロージナは繁盛していて、そんな心配は全く必要なさそうだけど。
フードのおすすめは「昔風ナポリタン」。ボリュームたっぷり1.5人前はあるので覚悟してオーダーを。

葉田いづみ
グラフィック・デザイナー。主に書籍のデザインを手がける。静岡県出身。2009年より国立に暮らす。

●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー

もし高校野球の女子マネージャーが

アダム・スミスの『国富論』を読んだら(何もいいことない)

文責:三品輝起

 

店を通じて知りあった人に、経済学部を卒業した旨を伝えると、よく「やっぱりなー、その知識を生かしてお店やってるのね……」と言われる。うーん。それってもしかして、経済学を金勘定の学問だと理解してるのかな? あるいは商学部や経営学部と混同してるのかも。

 

また去年暮れごろ、大流行りしてた『もしドラ』(注1)を、ほうぼうから「読んだ?」「どーなの実際」って聞かれた。やっとこさ今年の正月に読んだが、この今すぐにでも「おにーたーん」って飛びかかってきそうな、萌えキャラたちのサクセスストーリーと(よい本でした)、経済学はなーんにも関係ない。

 

これも恐らく本屋の棚が、経済学本と経営学本と、年収が10倍になる本と、ワタミ社長の本と、30歳までにやっておくことがずらずら書いた本と、株の運用本(あと自己啓発本とスピリチュアルなやつと『人間だもの』と……)をひっくるめて「ビジネス書」なんて名前になってるからだと思う。

 

で、残念ながら経済学と経営学は根本的にちがう。経営学は企業というシステムを分析、研究する学問だ。また成功している企業に共通した原理をとりだして、今後の組織経営に役立てるための分野でもある。

 

イメージとして、企業をぜーんぶ集めていくと一国の経済になる、そう思うのが自然かもしれない。ところが、企業と国とは性質がぜんぜん違う。この違いが経営学と経済学の違いと重なっている(注2)。

 

例えばマックとモスというハンバーガーショップが競争してるとしよう。マックが新しいハンバーガーを出してヒットすると、モスの売上が下がる可能性が高い。ほんとはこんな単純じゃないけど、こういう関係をゼロ・サム・ゲームという。

 

新聞なんか読んでると、日本の製品が世界のシェアを制覇しつつあるとか、どこどこの国の企業に日本の企業が抜かれたとか、だから国が支援すべきであるとか、毎日書いてある。やるかやられるかのゼロサムの世界であると。読者は国と国は、マックとモスのように熾烈な果たし合いをしてるように思っている。だけどそれは経済学的には間違いだ。例えば貿易理論の教科書には、そんな争いごとはでてこない。

 

じゃあ、国際貿易論というジャンルの基礎の基礎だけ紹介しよう。まずなによりもリカードという学者が発見した「比較優位」という理論を叩き込まれる。自由貿易における真の利益とは、相手国に対して絶対優位に立つ必要はなく、比較優位に立った輸入で得られる、といった理論だ。ホントはもっと複雑なので、詳しくはグーグルで(注3)。

 

あとは(哲学者ヒュームにまでさかのぼれる)変動相場制の自動調整作用なんかを習う。Aという国があったとしよう。Aの輸出が増えると、それにともなう通貨の取引も増える。するとA国の為替(通貨の相場)が上がる。でも為替の上昇は、他国との価格競争において不利になる。だから輸出が減る。そうやって貿易の不均衡が自動的に調整される。超わかりやすく言えば。

 

とまあ、開放系であるマクロな経済には、こういうヘンテコなメカニズムの仮説が山ほどある(注4)。要するに、経済と一企業の動きとはぜんぜん違うのだ。

 

いまから200年くらい前、西欧のはしっこで産業革命が起こり、またたく間に地上を覆いつくしていった資本主義経済という巨大な謎。偉大なる先達たちは果敢に立ち向かい、ちょっとずつ法則(ほとんどは仮説)を発見してきた。で、その法則をちまちま覚えていく学問が経済学だ。

 

数学の公式と似たそれは、まったく日常の役に立たない。マックとモスの競争のようなゼロ・サム・ゲームの世界において、のしあがる方法はどこにも書いていない。ましてやぼくのお店には生かせない。恋愛にもたぶんダメだろう。残念なことに。じゃあ何の役に立つの?

 

それが今まさに問われていることだ。市場は本質的に均衡ではなく、不安定さを抱え込んでいることも実証されてきた。世界の突端で、この瞬間も知性が試されている。でもその話はまたどこかで。さーて、そろそろ疲れたと思うのでこの辺で。ダスヴィダーニャー!

 

 

注1:岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社)

注2:ここまで言ってアレだけど、経済学にはミクロ経済学という分野があって、そこには経営学にも近接している領域はある。また最近注目の行動経済学や、経済発展の根本にある生産性やイノベーションの問題は案外つながってたりする。根本は違うよってことで。

注3:国際貿易をもうちょい知りたい人は、国際経済学の権威、ポール・クルーグマンの安くて読みやすい文庫がおすすめ。『クルーグマン教授の経済入門』(ちくま学芸文庫)や『良い経済学 悪い経済学』(日経ビジネス文庫)など。

注4:初歩的なもので、失業率が減ると短期的にはインフレ率が上がる(トレードオフの関係)、社会に流通する貨幣の総量とその流通速度が物価を決定する(貨幣数量説)などなど。

 

 

三品輝起(みしなてるおき)

79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。

 

 

 

 

【tico moon】

11月、tico moonにとっては初めての盛岡、弘前でのライブがありました。今回のツアーは日程をゆったりとって、秋のドライブを楽しみながらの旅になりました。

 

盛岡でのライブは、『carta』さんというカフェが昨年新しく運営し始めた『tent』という暖炉のある素敵なスペースで行われました。暖炉の中で薪のはぜる音をバックに、とても気持ち良く演奏させていただきました。

 

盛岡で丸一日オフを楽しんだ後、弘前では『THE STABLES』さんという雑貨屋さんと『Bistrot Raisin』さんというビストロでの演奏です。『THE STABLES』は昔は銀行だった古いビルの3階にあるお店で、秋のしんとした夜の空気の中、凛とした響きを作り出してくれました。翌日昼間の『Bistrot Raisin』でのライブは、午前中の雨も無事上がり、気持ちの良い日差しの中で行われました。

 

初めての盛岡、弘前ツアーは不安と期待とで一杯だったのですが、沢山の方々に支えていただき、とても楽しいツアーになりました。素敵な出会いの数々に感謝してもしきれない気持ちで一杯です。本当にありがとうございました!またお会いできる日を楽しみにしています!

(tico moon/影山敏彦、吉野友加

【naomi & goro】

インストアライブ@横浜象の鼻テラス【naomi & goro】

12/11(土)に横浜象の鼻テラスさんでChristmas Songsリリースインストアライブを行いました。
海のみえるガラス張りのテラスがとっても素敵な会場でした。(naomi & goro )


青森県立美術館のレポート【伊藤ゴロー】

1/12から青森入りしてインスタレーションの準備。

音は東京でだいたい作ってあるので、青森では写真と映像を作成。

子供のときに自転車で遊びにいって『安田やま』を探しに、記憶をたよりに吹雪のなか車で

安田周辺を捜索、インスタレーションが行われる青森県立美術館がまさに住所が安田!!

美術館周辺を車で走ってると見覚えがる神社を発見!!やっぱり神社とかは周りの開拓にもめげずに生き残ることの凄さを実感。

徒歩で森の写真を撮ってたら、自衛隊のトラック、この辺は自衛隊の演習場あって立ち入り禁止エリアだ。

話が長過ぎるので、この辺で、、 (goro )