333DISCS PRESS

「お正月をどう過ごしましたか?」

【naomi】

シルベスターは、南ドイツのmunichにいました。劇場でお芝居を見たり、ミュンヘンフィルのシルベスターコンサートにいきました。クリスチャンシールマン、よかったです。

munichからsalzbourgへ。そしてviennaへ行きました。musik fereiでウィーンフィルの演奏をダニエルバレンボイムの指揮で見ました。バレンボイムのピアノのブラジル音楽アルバムがあるけど、納得しました。

【goro】

正月は久しぶりに青森に帰りました。太郎とスキー、毎日温泉(銭湯?)に行きました。

 

 

【tico moon 影山敏彦】

初めてブルーレイのハードディスクレコーダーを購入しました。朝ドラや大河ドラマを見逃す事も無くなりとても便利です。

【tico moon 吉野友加】

今年も色々な面で進化できる様、努力を忘れない様にしたいなーと思います。

【青芝和行】

お正月は普段と変わらず、雑事に忙殺されてました。初詣はきっちり地元の氏神様で。

「2月〜4月で楽しみ&おすすめなことは何ですか?」

【naomi】オーストリア料理の本を買ってきたので、あたたかいお料理を覚えたいです。

【goro】知世ちゃんツアーで仙台、沖縄、山口、大阪にいきます。東京もあります。山口は初めてなので楽しみです。

3月28日には手紙舎で僕のソロライブも企画していただいてます!

 

【tico moon 影山敏彦】やはりこの時期ならではの一番の楽しみはお花見でしょうか。

【tico moon 吉野友加】tico moonが音楽を担当させていただいたパペットアニメーション『電信柱エレミの恋』が、文化庁のメディア芸術賞のアニメーション部門で優秀賞を受賞しました。

これにともない、2月3日から2月14日まで国立新美術館にて受賞作品の上映やシンポジウムなどのイベントが開催されます。お時間が合う様でしたらぜひ遊びに行ってみて下さい。

また、毎日映画コンクールにおいても<アニメーション部門>大藤信郎賞を受賞しました! たくさんの方に観ていただける機会が増えるといいなーと思います。

 

【甲斐みのりさん】お別れも、新しい出会いも重なり合う、春。離ればなれに過ごす大切な人に、手紙を書いてみてはいかがでしょう。家族でも、もう何年も会っていない友だちでも。もちろん、月に幾度も会う人に、新鮮な気持ちで言葉を綴ってみるのもすてきなこと。

1月に、『京都・東京 甘い架け橋〜お菓子で綴る12か月の往復書簡』(淡交社)という本を出しました。この本は、京都の六曜社という喫茶店で人気のドーナツをつくる、ウエイトレス・奥野美穂子さんと、約8年の間に交わした、手紙とお菓子の交換記録。

 

季節や行事ごと、美穂子さんが京都から手紙つきで送ってくださる雅やかなお菓子。私が東京や旅先で見つけた、愛らしい姿形のお菓子。京都から、東京から、送りあった手紙、言葉、気持ち、お菓子を、本の中に閉じ込めました。

用事があればその瞬間に連絡できる時代だからこそ。電話でもメールでもなく手紙で、気持ちを届ける楽しみを感じていただけたらとも思うのです。

それから本には、六曜社の歴史や、美穂子さんのドーナツつくりのこともとじこめています。

六曜社のマスター・奥野修さんは、ミュージシャン「オクノ修」の顔ももっていて、高田渡さんや村八分、裸のラリーズ、東京ロッカーズなど錚々たる方々と親交をもたれていました。修さんから昔ばなしを聞くのは、小説を読むよりドラマチックで面白いのです。

この春には東京で、奥野修さんと奥野美穂子さんを呼んで、ライブイベントを計画しておりますので、ぜひぜひ、いらしてください。六曜社の珈琲とお菓子も、ご用意してお待ちしております。

●乙女歌謡

こんにちは。甲斐みのりです。今回はちょっと、横にそれたお話しから。

「憩いのひととき」で長らく「乙女歌謡」のコーナーを担当させていただき、日本語の女性ボーカルという制約を課して曲のご紹介をしてきたためか、ここ数年、音楽の話しをするとき、私は日本の歌謡曲しか聴かないという前提でお話しをされることがよくあります。けれども実は私、普段から、「乙女歌謡」のコーナーで紹介しているような音楽を聴いているわけではないのです。

「乙女歌謡」のコーナーで紹介させていただいている曲は、少女時代〜大学時代までの記憶を辿ってのご紹介。その少女時代〜大学時代も、フランスや北欧の音楽やレーベルに夢中になってもいたので、私の頭の中の音楽タンクの乙女歌謡の割合は、実はほんの一部。この頃は、渋谷のタワーレコードの5階で視聴する時間が至福です。

凛とした12月の夜、よく聴いていたのは……。「憩いのひととき」の執筆仲間、三品輝起さんのレーベルから出ているsansdeer「Grand Tour」、デザイナーでもある青木隼人さんの「guitar solo」、それからharuka nakamura「grace」、world’s end girlfriend が手がけた、映画「空気人形」のサウンドトラックなどなど。今年はもっともっと、いろんな音楽、聴きたいなあと思います。

さてさて。「乙女歌謡」に戻ります。この春、この歌の歌詞のような気持ちで過ごしたいと思うのです。

■原田知世さん「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ〜」

「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ〜」は、1983年に原田知世さん主演のミュージカル「あしながおじさん」の主題歌として松任谷由実さんがつくった歌。作詞・作曲を手がけた松任谷由実さん自身も歌っていますが、私は儚気でもあるけれど、明日を信じる力強さを秘めた原田知世さんの歌声でこの歌を聴くのがとても好き。

これまでの全て、今この瞬間のためにあったのだと思っていたい。後悔したこともあるけれど、これからは。出会えた人、見たり聴いたりできたものを、きっとこの時間の先にすてきななにかをもたらしてくれるはずだからと、大切にしていきたい。

 

甲斐みのり

文筆家。1976年静岡生まれ。旅・お菓子・各地の食材・クラシックホテルや文化財の温泉宿などを主な題材に、女性が憧れ好むものについて書き綴る。
http://www.loule.net/

●チナボンボンブック

こんにちは!チナボンこと正山千夏です。もうすぐ春♪新生活がはじまる方も、そうでない方も、気分一新で毎日をすごすのっていいですよね。そんな女性のみなさまにオススメの本を今月はご紹介したいと思います。

■廣瀬裕子「まいにちできること 気持ちいい暮らしをつづけるための50の方法」

新生活を機会に、もっと気持ちのいい暮らしをしてみませんか? 便利であることも大切ですが、コマーシャルに刷り込まれている便利さを一度取り払って、こんな本で毎日の暮らしを見直してみると、意外な心地よさに出合ったりします。

エコバッグやマイボトルを持ちましょうからはじまり、例えば生長の早い竹素材の方が、石油からできているプラスティック製品を使うより環境によいなど、知っていれば簡単に実行できることばかり。この中で私が個人的にすごくいい!と思ったことをひとつご紹介。それは布ナプキン。

最近では色々なお店やインターネットなどで販売されているのを見かけるようになりました。とにかくこれが気持ちいいのです!そしてもちろん布なので洗濯して繰り返し使え、ゴミも出ません。今の布ナプキンはとても高性能にできていて、ほとんど紙ナプキンと同じ感覚で使用できるものも。また色やデザインも豊富で思わずコレクションしたくなってしまいます。不安な日はこれまで通り紙ナプキンで、軽い日から始めてみるのがオススメです。

“エコな暮らし”はブームで終わったとしても、“気持ちのいい暮らし”は自然とずっと続けていきたいと思うものですよね。

■田口ランディ「クレンズの魔法 母たちが娘に伝えてきた秘伝の幸福書」

お母さんと最近じっくり話をしましたか?

ランディさん(は、女性です!)が、ご自分の娘さんはじめ、すべての娘である女性に向けたこの本。

母の目で、世界という大海に乗り出す娘におくる、ちょっと哲学的で、そしてとても正直な、心温まるアドバイスの数々。自分がこの世に祝福されて生まれてきたのだと感じずにはいられない、なんだか安心する本です。もちろん娘さんをお持ちのお母さんたちにもよいかもしれませんね。

クレンズとは汚れを落とすこと。心も窓ガラスと同じで、掃除をしなければ曇ってしまいます。お肌もお部屋もそうですが、心のクレンズは女性としてのみだしなみでもあり、世界を見通しよくする最強の魔法なのだとランディさんは伝授します。

私のお気に入りは「わかちあい ?大人になっても悩むことばかりです」というタイトルのついた第4章。悩み多き大人のための処世術が、子どもにもわかるようにシンプルに語られています。ここは「禅」の考え方にも近いかもしれません。

私も母とは改まってこういった話はしないですが、何も言わないけれど母もきっと人生の先輩としてこんなふうに思ってくれているんだろうなーと思うのでした。

 

チナボン

バンドsugar plantのヴォーカル&ベース、正山千夏のソロユニット。2005年伊藤ゴロー氏のプロデュースで「in the garden」(333DISCS)をリリース。1994年詩集「忘却セッケン」で第10回早稲田文学新人賞受賞。
http://blog.livedoor.jp/cinnabom/

●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー:さよなら本たち

本読んでますか? 今回は本にまつわる話をしたい、書店とか、本の伝道師とか、教養とかそういう。

■はじめに

まず関係ない話から。世の中、なんで本読むんすか?という人も多いと思う。うーんそりゃ楽しいからだけど、それだけじゃない。ということになっている。現国の先生を筆頭に大人たちから(たいして読んでない人も含め)、教養をつける最良の近道なんだと教えられる、じゃあ教養つけて何かいいことあるか、といえば、知的労働につく人にとっては必要不可欠だから「ある」ともいえるけれど、みんなつくわけじゃないし、根本的に必要かどうかはあやしい。むしろ下手な教養でいろんなことを失うケースだってある。

中学で川上未映子や平野啓一郎あたりを読んで学校の友達と話があわなくなり、ニーチェやマルクスを無理して読んで無垢な人柄を完全喪失、クンデラやフロイトを恋愛に生かそうとしてレディに逃げられ、みつをや326を音読して俺を憤慨、あげく太宰や三島にはまって命を……とまあいろんなものを失う、可能性もあるのだ。

さて冗談はここまで。実は経済学でも、経済を成長させるために必要な生産性と知識の共有の相関については研究されている、あと暗黙知とか創発とかコモンズの議論とか。また頭のよしあしは読書より遺伝の相関の方が高い、という(ちょっと悲しい)報告もある一方、脳の発達と読字の研究が脳科学で猛スピードで進んでたりする。でも、それらはすべて社会全体で見れば、というマクロな話で、本読んだから人生いいことあったか、という答えを個人で実感し判断するこは不可能だろう。本っつったっていろいろあるし。

■本の業界

つづいてもまじめな話。永江朗さんの『本の現場』(ポット出版)によれば「この30年で出版点数は4倍になったが、いっぽう1点あたりの販売金額は半分になった」。97年を境に出版業界の売上減少は留まることなくつづき、それでもなお1日平均200冊という驚くべき数の新刊が出されるという状況。ネットやなんやで本離れが進んでんのに、というかそれ故に、出版社は小ロットで数を打ちまくるという悪循環がある。

たしかに店頭には数時間で読み終えて捨ててしまうような雑誌(いま読んでる『週刊ダイヤモンド』の新春号は1週間たっても読み終わりませんよ)、ベストセラーの三番煎じ、四番煎じが溢れかえっている、外身だけオシャレーにパッケージングしたりして。売上減少の原因は複合的だけど(楽しいこといろいろ増えたしね)、まあ質の低下に関しては出版流通の世界における2つの制度に求められる。

(1)清算を先にして返品ぶんを払い戻す特殊な「委託性」
(2)値下げという市場メカニズムを無効化する「再販制」

詳しくは本書をお読みいただきたいが、永江氏は、出版社は返品を上回る少部数の新刊発行を続けることで資金繰りをしている、と指摘する。「資金繰り」ってとこが真骨頂っす。そりゃ出せばとりあえず書店は買ってくれるわけだから、返品するころにまた出せばいい、という。まあ、現状はこんな感じということで暗い話はここまで。

■本の伝道師

本離れが進めば「本ってええもんよ」と説く者があらわれるのが受給のバランスというもの。だから本の伝道師みたいなのがいろいろいる。ブルータスでも対談してたけど、編集工学研究所所長・松岡正剛(まつおかせいごう・注1)さんとか、バッハ代表・幅允孝(はばよしたか・注2)さんなんかがよくメディアにでてる。前者を硬派伝道師としてするなら、後者はもう少し敷居の低い軟派な伝道師か。

あと硬派系だと立花隆さんなんかが有名だし、軟派系なら齋藤孝さんとかいる。

ともかく社会が複雑化し、不況もつづき日本のトレンドもダダすべりしていく不安な昨今。退職後の団塊世代などを中心に、知的好奇心が芽生えてくるのは当然のなりゆきだと思う。『思想地図』も売れてるみたいだし、教養本のたぐいが多いのもそのせいだろう。雑誌でもやたら本特集が目につく。しかし知識の積み上げを、インターネットを閲覧するようにてっとり早く行うことは無理ですよー。

幅氏を「軟派」と書いたけど、これは本離れしてる若者たちから広く支持されているという意味で、他意はない。活動をつぶさに見てると、いかに本離れしたした人に本の良さを伝えるかを、パフォーマティブにやっている印象だ。若者と本をつなぐ目的のためには、未開のあらゆる回路、文脈を使う(よって本を読む=オシャレみたいな意味付けも、いとわない)、というかなりの知略家でもある。

ぼくのなかでは、一番本読まない系の人(あとマセた中学生)に読書を指南してるのはヴィレッジヴァンガードちゃうかしらん、と思っている(あとジャズ聴かない系にブルーノートコンピを売りまわっているのも)。で、そこにそぐわない(あのサブカルぶりが嫌な)種族の人たちが幅さん需要なんじゃないか。そのへんを卒業して、つまりちょい読む系になったら、硬派な伝道師たちに進む、みたいな。まあそんな階段がある気がする。

■おわりに

『ぼくらの頭脳の鍛え方』(文春新書)というマッチョな題の新書が売れている、そのなかで立花隆さんは教養を「人類の知的遺産」と呼び、「教養教育とか、知的遺産の財産目録を教えることになります。しかし、いかにしてその全体像を教えるか」と悩んでおられる。まあ答えは、黙って(ネットじゃなくて)本を読め!ということらしいのだが(当面、読書の優位性はつづくらしい)、彼は教養と知識をわけて考えていて、全体像というか見取り図を教養、そのうえに専門の知識がのっかる必要を説いている。

これはスペシャリストvsジェネラリストという古典的な問題でもあるんだけど、うーんこれパンピーにどこまで関係あるんだろう?

お茶の間では『坂の上の雲』とか『竜馬がゆく』が流行ってて(本しか読んだことないです)、自分と重ねたりしてるかもしれない。子規や竜馬にとっての教養と、そのうえに乗っかる専門の知識は、そのまま彼らが成し遂げたことと結びついている、だからって誰でも知識が役立つポジションにいられるわけじゃない。また「地頭」と言ってしまうと身も蓋もないけど、維新や明治政府を支えた人々がいかに特殊な能力をもった人たち(というか脳味噌たち、というか秀才)だったか、という点はだいじ。

だいじ、つながりで言えば、ぼくの持論はこう。だいじなことは自由な考えを求めることだ。かつては読書しなくたって自由に物事を考えられる人はいっぱいいたはずだ(一つのことを極めた謙虚な人々のように)。

でも情報が蔓延し錯綜している都市では、一見自由な振る舞いの多くが外因によって決定されている、という可能性に疑問すら感じなくなっている。そして毎日が祭となった。そんな都市生活者には読書が役立つんじゃないか。自分を形作る外因を掻きわけ、なるべく自由に考えられる足場を確保するために。その教養という足場を作った上で、各々の目的のために読書すればいい(というかやめてもいい)、創作のためでも婚活のためでもマネーゲームの超克のためでも何でもいい、だれかのように、過去に戻るためだけに頁をめくったっていいのだ。

最後にセイゴー氏のありがてえ御言葉あげます。「本には人類のあらゆる英知と行為が、また人々の欲望と消費のすべてが折りたたまれています。読書を一過性の体験から開放し、読書をする社会を拡張していくには、ブックウェアともいうべき本をめぐる生態系のようなしくみから考える必要があります」。ではでは、よい読書を!

■リンク

注1:セイゴー先生が丸善と組んでつくった本屋に「松丸本舗」がある。本気の本好きも楽しめると思うのだけれど。
http://www.matsumaru-hompo.jp/

注2:BACH(幅允孝)。六本木のツタヤとか、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS(渋谷・神山町)とかで本棚を監修、というか本棚を通じて店をディレクションしてる。スタバで買ったばかりの本がそく読めるとか(ポンギ)、ガラス張りで本を編集してる風景が見れる(渋谷)とか、iPodと同じで容れ物をかえことで、本と人の関係性が変わり、ひいては本を読むきっかけにつながる(のかな)。そのへんもヴィレヴァンと同じ構造。松丸本舗より敷居が低くてオシャレーですので若者向け。
http://www.bach-inc.com/

 

三品輝起(みしなてるおき)

79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。